2021.03.04

2021年版科目別(研究分野別)QS世界大学ランキング発表のお知らせ

弊社が業務提携をする、高等教育の世界的なシンクタンクであり、世界で最も参考にされている大学ランキングを毎年編纂している英QS (Quacquarelli Symonds)社は、2021年版科目別(研究分野別)QS世界大学ランキングを発表いたしました。

最新版世界大学ランキング:日本はライバルに遅れを取らないよう苦戦中

ロンドン発、2021年3月4日:第11版科目別(研究分野別) QS世界大学ランキングを本日発表しました。同ランキングによれば日本の高等教育分野は研究投資の停滞と国際的な競争激化により、アジア地域や全世界の競合大学勢に遅れを取らないよう苦戦しています。

2021年版のQS世界大学パフォーマンス比較は、日本の52大学における51学部の414科目のパフォーマンスに関する独自のデータを発表しています。

日本地区サマリー

  • 今年は調査対象になった日本の大学の該当科目の58%がランク入りを逃した一方で、順位を上げたのは16%だけでした。
  • 学科領域の世界の上位50大学にランク入りした日本の大学の学部数は2019年には79でしたが、2021年には69に減りました。
  • ますます多様化する競合校とは異なり、日本の高等教育分野は依然として単独のフラッグシップの大学である東京大学によって占められています。
  • 日本の18科目が科目別の世界の上位20位以内にランク入りしています:その内15件(83%)が東京大学からのものとなります。
  • これらの困難があるにも関わらず、日本の上位大学はアジアの最高峰の一部であり続けています。東京大学の43の科目は、学部別の世界上位100大学にランク入りしている学部のものです。総数でこれを上回るのはソウル大学だけです(45)。

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科目別QS世界大学ランキング2021年版:アジアの上位10校

日本の大学の上位5位の科目は以下の通りです

  1. 東京医科歯科大学の歯科学(Dentistry)(世界5位に上昇)
  2. 東京大学の現代語学( Modern Languages)(9位、1ランク下降)
  3. 東京大学の物理学・天文学( Physics & Astronomy)(10位、前回と同じ)
  4. 東京大学の社会施策・行政学( Social Policy & Administration)(同率12位、5ランク下降)
  5. 東京大学の化学、化学工学、地理学(Chemistry, Chemical Engineering, and Geography)(いずれも世界13位)

QS社のリサーチ責任者であるベン・ソーター(Ben Sowter)は次のように述べています。「日本が現在ランキングで成績不振になっている一因は、科学・技術の研究に対する日本の支出が過去10年間に世界の多くの競合校に遅れを取ったという事実にあるとQS社は考えています。例えば、中国が2008~2018年の間に投資額をほぼ3倍に増やした一方で、日本は大部分が停滞していたことを、私たちは観察してきました。また、中国では博士号を取得すればすぐに研究者になれる博士課程の学生数が着実に増加してきたのとは異なり、日本は博士号候補者に十分な資金を提供してこなかったのです。日本では2003年以降、国内の博士号候補者数の一貫した減少が見られます。」

ソーターは次のように続けています。「この結果が、日本の研究成果に影響を及ぼしているように見えます。被引用数が多い研究論文の世界ランキングで、過去20年の間に日本の研究者は世界4位から11位に順位を落としました。このような研究成果の弱体化――イノベーション、イノベーター、大学に対する投資が限られていることの直接的な帰結――が、現在の私たちのランキングにも反映されているのです。大学ファンドなどの新たな政策イニシアチブは正しい方向に向かう一歩ではあるものの、少なくとも2020年代の後半になるまでは、それらの効果が私たちのランキングで可視化される可能性は低いでしょう。2010年に同じような別枠での基金を導入したシンガポールは、2015年から私たちのランキングで同国史上最高の結果を出しています。」

このランキングは高等教育分野の世界的評価機関であるQS Quacquarelli Symondsが編纂したものです。世界各地の85個所にある1,440大学の学生が受講している各大学の 個別の科目13,883件の業績について、独立した比較分析を提示しています。調査対象は51の科目と5つに大別した学部学問領域(※1)となります。このランキングは毎年行っているQS世界大学ランキングのポートフォリオの一部であり、2020年には1億4,700万回以上参照され、報道件数は98,000件を超えました。

本リリースの詳細やランク入りした日本の大学の科目のフルデータ一式のご依頼は、QS の広報担当マネジャー(Public Relations Manager)を務めるジャック・モラン(Jack Moran)までお問い合わせください。連絡先: jack@qs.com または +44 7714 209 834。

※1 QSは51科目を次の5つのカテゴリーに大別しています。芸術・人文科学、工学・技術、生命科学・医学、自然科学、および社会科学・経営。51科目全てのランキングとともに、5つの「学部領域」全てのランキングも作成しています。

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科目別QS世界大学ランキング:日本の上位10校

評価方法 

QSは4種類の主要な指標を利用して当ランキングを編纂しています。各指標の正確な重み付けは、分野・学科間の論文出版文化の違いを反映するため、分野によって異なります。例えば、研究の普及に大きく依存している医学分野については、本来的に職業的な性格が強い舞台芸術分野に比べて、研究実績をより強い大学の強みを示す指標と見なしています。

▶︎評価方法の詳細はこちらで閲覧できます。

▶︎全てのランキングは日本標準時3月4日木曜日午前6時からこちらで閲覧できます



-以上-  

ー補足ー

QS Quacquarelli Symonds   

QS Quacquarelli Symonds社は全世界の高等教育部門にサービス、アナリティクス、インサイトを提供する世界有数の企業です。当社のミッションは、世界のあらゆる場所にいる意欲ある人々が、教育の成果、国際的なモビリティ、キャリア開発を通じて潜在能力を十分発揮できるようにすることです。
2004年に初めて発表して以来、QS世界大学ランキング・ポートフォリオは成長を遂げ、大学のパフォーマンス比較データとして世界で最も多く参照される情報源となっています。ランキングを掲載しているメインのウェブサイトwww.TopUniversities.com は、2020年に1億4,700万回以上閲覧されました。またQSの調査結果は世界中の報道機関に紹介されており、2020年の報道件数は98,000件を超えました。

Scopusについて info.scopus.com    

Scopus(スコーパス)は、同業者による審査を受けた文献の世界最大級の抄録・引用データベースであり、学術研究を追跡・分析・視覚化するためのツールを提供します。その包括的なデータベースには、世界5,000社以上の出版社による逐次刊行物21,000 タイトルの索引項目5,500万以上が含まれ、科学・技術・医学・社会科学・人文科学各分野を幅広く学際的に網羅しています。Scopusは研究者や司書の助言に基づいて設計・開発されたもので、定期購読出版物の記事全文やその他の図書資源への直接リンクを提供するとともに、参考資料管理用ソフトウェアなどのアプリとも互換性があります。ScopusはElsevier Research Intelligence(エルゼビア・リサーチ・インテリジェンス)のポートフォリオの一部です。ポートフォリオにはSciVal ツール、 Pure システム、豊富なデータ資産、カスタム仕様の分析サービス(Analytical Services)が含まれます。

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